資料名 | 天命招福銭 |
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資料記号 | mz2k03 |
文字/言語 | 満洲文字・漢字/満州語・漢語 |
材質/形態 | 銅/円形穴銭 |
重さ | 29.8g |
大きさ | 直径42.17mm、厚さ3.06mm |
管理/所蔵 | 古代文字資料館/個人蔵 |
清代の符呪銭。一般に流通したものではない。
道教にかかわるもので、貨幣の形態を利用したお守り。
寡聞にしてこの種の満文銭が他で紹介されていることを知らない。
流麗な筆書きの字体のため読みにくい部分もあるが次のように判読する。
なお、この文字は、丸や点が施された所謂有圏点満洲文字。 (表) 上abukai(天の)、下hese(ことば)、右hūturi(福を)、左isibumbi(及ばせる)とある。 漢語に訳すならば“天命招福”ともなろうか。なおisibumbiの語末のiの字形はやや崩れているがiに間違いない。 (裏)上“此符”、下“壓怪”、すなわち“この符は怪を壓する”とある。 左右には道教に特有な護符用の文字がある。何らかの合体字であろうが、読み方はわからない。 ふつう満洲文字/満洲語は縦書きで行は左から右に読み進む。 清代初期の太祖ヌルハチの「天命汗銭」や太宗ホンタイジの「天聡汗銭」の銘文も縦書きで左から右に読むようになっている。 ところが、この符呪銭の場合、hūturi(福を)isibumbi(及ばせる)の銘は右から左に読むようになっており、これは漢語風ともいえよう。 あるいは“招福”という漢語表現をそのまま語順を変えずに満洲語に置き換えたものであろうか。 (文責:吉池孝一2010.5.18) |