資料名 | 亀茲五銖 |
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資料記号 | bz2k01 |
文字/言語 | ブラーフミー文字・漢字/トカラ語・漢語 |
材質/形態 | 銅/方孔円銭 |
重さ | 1.7g |
大きさ | 径:18.67mm、厚さ:1.84mm |
管理/所蔵 | 古代文字資料館/個人蔵 |
2言語併用の小型の方孔円銭。5世紀〜7世紀に亀茲で鋳造されたものらしい。
亀茲は現在のタリム盆地北側の庫車(クチャ)県に相当。
玄奘『大唐西域記』(7世紀前半)の屈支国(亀茲)の条に「貨幣には金銭・銀銭・小銅銭を使用している」とある「小銅銭」がこれであろうか。 写真上には漢字漢文で「五」(右)と「銖」(左)、即ち「五銖」とあるが摩滅していてよく見えない。 かろうじて「五」の古体文字が確認できる。 写真下はブラーフミー文字トカラ語であるらしい。 下は数字の「50」、上はよく分からないが「銖」の1/10に当たる単位ではなかろうかとのこと。 以上は蘇曄・劉玉榮1998(『古幣尋珍』文物出版社)を参照。 なお、漢字と非漢字が併用されているところは、漢字とカローシュティー文字が併用された「新疆馬銭」と似ている。 もっとも亀茲五銖は方孔円銭であり、この点は一層中国的。 異なる文字による2言語併用貨幣の系譜は、カローシュティー文字とギリシア文字が併用された、 クシャン朝貨幣やインドスキタイ貨幣やインドグリーク貨幣などインド西北の貨幣様式に遡る。 同一様式は、ずっと時代が下った13〜14世紀イルハン朝などのウイグル式モンゴル文字とアラビア文字が併用された貨幣に現れ、さらに時代が降った清朝の新疆紅銭にみることができる。 新疆紅銭では漢字・満洲文字・アラビア文字が併用される。 |