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資料名クシャン朝貨幣5
資料記号gi2k19
文字/言語表:ギリシア文字/ギリシア語
裏:カローシュティー文字/ガンダーラ語
材質/形態銅/円形コイン(打刻)
重さ16.7g
大きさ最大径27mm、厚さ:3mm
管理/所蔵古代文字資料館/個人蔵
 クシャン朝の王、ウィマ・カドフィセス(在位は一説に紀元後120-143年)発行の銅貨。
 表は王の立像。周囲にギリシア文字で書いたギリシア語の銘文がある。basileys(王)、 basileōn(諸王の)、sōtēr(救済者)、megas(大いなる)、ooēmokadphisēs (ウィマ・カドフィセス)。「諸王の王、偉大なる救済者、ウィマ・カドフィセス」 とある。摩滅した部分は渡邉弘(1973)『西域の古代貨幣』学習研究社を参照して復元。
 裏は牛と神の立像。周囲にカローシュティー文字で書いたガンダーラ語の銘文がある。全体に磨滅 が進んでおり判読は困難。
 銅貨にしては図像がきわめて明瞭。とくに表の図像。左右の足と右手に外套のシワが縦に短く3本 描かれている。顔は向かって左向き。顔の表情まで確認できる。右手と「祭壇」とされるものをつな ぐ線のようなものがみえる。ふつう、王は右手を「祭壇」にかざしていると解説されるが、右手で 小さな「祭壇」を吊るし持っているようにみえる。それは、「祭壇」とされるものが、腕の向きと同 じくやや斜めになっていることと、右手と「祭壇」の間に線が一本あるためであろう。左腕は肘から 曲げられている。手の動きは不明。あるいは、棍棒を抱え持っているように見えないこともないが、 不明としておく。
(吉池孝一 2019.7.13)

ギリシア文字(表)

カローシュティー文字(裏)